ドイツの写真家、イヴォンヌ・タインのWebサイト。
以前記事にした、『ABOUT BEAUTY』でも取り上げられていた作家です。
インパクトがあるのは「Thirty-Two Kilos」のシリーズですが、他の作品も印象的です。
(ちなみに「Thirty-Two Kilos」は画像処理により痩せた身体像を作っているそうです。参考サイト)
どれもつるりとした質感で、女性・男性ともに不思議と性差を感じさせません。
清潔で物のような感覚と中性的な印象は、以下の拒食症を論じた文章と合致するように思います。
いずれも芹沢俊介・著『現代<子ども>暴力論(増補版)』より。
社会には「規範」としての身体像があるという前提で、拒食症の説明の一部で以下のように記しています。
拒食症の少女はこの社会的身体像を規範に良い食べ物だけを選び、やがてその良い食べ物のなかに悪い食べ物を検出し、ついに良い食べ物を見いだせなくなって食べ物全体を拒否してゆく。この過程はやせることという社会的な善(要請)に応えていることでもある。それはまた美と価値を手に入れることでもあるのだ。だが、その先には、死が見えてくる。
また、拒食症体験者が中性的なものを美しいと感じるという点にも注目しています。
このような人間と非人間のあいだの中性志向を少女期の子どもたちから抽出することはいまでは容易であろう。この中性志向の果てには、死が待っている。けれどイメージとしてとらえるとき、少女は死ではなく植物という生命ないし性へと移行したがっていると見れなくもない。あるいは鉱物という無性へ。
「けれどイメージとしてとらえるとき、」以降のくだりが、まさにイメージであるイヴォンヌ・タインの写真と結びつきます。
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