大学にて催された、恒例の「かつおコンパ」に行く。これは、2年間在籍したゼミのS教授(71歳のじーさま)が考え出したイベントで、秋には「ちゃんちゃん焼き(コンパ)」もとりおこなわれる。
早朝に東京の台所・築地市場にゼミ生で買出しに行き、主役のかつおを探し、その他の肴も仕入れ、何とか持ち帰って(やる気とスキルのある人が)調理をする。
どこかの遠洋で捕獲された大量の魚類が一ヵ所に集約され、価格を付けられて売買される現場を見学できることって滅多にない。しかもすべての魚が原形をとどめている。さながら現物を入手できる水族館のよう(死んでいるけれど)。
捕獲や売買、調理といったそれぞれのプロセスは、生活のなかで工夫しながら培ってきた作法によって行われる。広義にはこれを文化というのだけれど、こういった文化的な営みである作法を、自分も周囲の人たちも実体験としては知らない。そもそも、生活にこういったプロセスが求められない。
そんなわけで、S教授の意図としては食文化から遠ざかっていく現代っ子を啓蒙しようという大儀があるのかもしれないけれど、単に「飲む」口実のような気もしなくもない。しかもお膳立ては全部ゼミ生がやってくれるわけで、本人は酒をすすっているだけ。
ここまで来ると、うまくやるなーと逆に感心してしまう。