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知られざる鬼才 マリオ・ジャコメッリ展

  • 会期:2008年3月15日(土) - 5月6日(火・祝)
  • 場所:東京都写真美術館

日本でアマチュアとして有名なのは植田正治ですが、イタリアでも同様の作家なのでしょうか。
コントラストの強い白黒が印象的で、(怪奇的でひたすらループするような)夢のワンシーンに似た写真が多かったです。ダリなどで有名なシュールレアリスムを連想しましたが、もっと濃厚で力強いイメージです。

写真の撮り方はいろいろありますが、共通しているのはカメラを持つ自分がいて、対する世界があることです。例えばカメラは虫取り網のようなもので、どんどん世界を捕まえた後に並べてみて「世界はこんな風でした」と提示するスタイルが考えられます。
ジャコメッリはその逆で、「世界はこうだ」という自分がすでにあって、それに合わせて世界を調整して提示するタイプなのではないかと感じました。
ただ、森山大道のようにすべて同じ品質の作風かというと、その時の気分によってばらつきがあるようで、「自分ありき」ではなく「世界ありき」の写真もまじっていておもしろかったです。その辺が(奔放という意味で)アマチュアなのかもしれません。

企画展の詳細については以下を参照してください。
::::: conversation | 知られざる鬼才、マリオ・ジャコメッリ 1925〜2000

辺見庸による寄稿文より引用 -
人の記憶や幻想や惑乱をこのように結像させてみせることを、たんに「写真」という言葉におきかえてよいものか、私にはいささかのためらいがある。ジャコメッリの作品はおそらく、写真をこえてひろがる、他のアートにくらべさらに心的で先験的な芸術にちがいない。彼はまた、ここが肝心なところなのだが、たそがれゆく森の奥の底なし沼にも似た、人間意識のあわいに浮きつ沈みつする、いわゆる「閾(いき)」の風景をもとらえようとする。

公式サイトでさらに作品が見れます。
MARIO GIACOMELLI OFFICIAL WEB SITE

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