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写真家・東松照明 全仕事

  • 会期:2011年4月23日(土)~6月12日(日)
  • 場所:名古屋市美術館

名古屋市美術館で開催中の企画展です。
次回のレンブラント展は大体的に告知しているのに対して、こちらはあまり広告等を出していないようです。危うく気づかないままだったかもしれません。
特に、4/23に開かれた「記念鼎談 『"写真事始"ふたたび』」もイベントとしてもっと発信しても良いように思います。
東松照明氏+中平卓馬氏(写真家)+倉石信乃氏(明治大学理工学部准教授、写真史)が集まって話すというぜひ行きたいイベントです。
もちろん、中平卓馬氏に会いたかったのと、東松氏について写真集を過去に見ただけであまり知らなかったのでぜひこの機会にと思い、なんとか時間を作って足を運びました。
詳しくはまた別の記事にしたいと思います。

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さて、展覧会の話に戻します。
展示は、タイトルの通り東松照明氏の60年におよぶ仕事を初めから辿る回顧展です。
ボリュームがあるといえばあるのですが、一本の線のようなものが根底にあり、不思議と統一感がありました。

手法で俯瞰するなら、前半はモノクロ・後半からカラーと大別できます。
また、35mmフィルムのほか6×6の中判も併用しているのと、印画紙の焼き付けに混在するようにインクジェットプリントも使われていました。
このようにいろいろな道具を使いながらも、やはり統一感があるのです。

いろいろと印象に残ったのですが、なかでも1959年頃のモノクロ群(熊本・天草の「家」や台風のシリーズ)がインパクトが強かったです。
「家」は、中平卓馬氏が過去の批評で取り上げたウォーカー・エヴァンス氏のアメリカ南部の農村のドキュメント写真を連想しました。
どちらも、被写体が時代とともに消えていく風景(家)でありながらも、センチメンタルな郷愁を感じさせない「物質感」が特徴です。
「物質感」とは、物がこちらに迫ってくるような、見る側を不安にさせるような、物の存在がこちらに這入り込んでくるような錯覚を覚える写真です。

今回の回顧展は、森山大道氏の表現特徴であるアレ・ブレ・ボケの先駆的な表現だけでなく、むしろ中平氏のかつて述べていた写真表現が垣間見える内容でした。

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