東京都写真美術館、ちょっと切れ気味?とは言い過ぎかもしれませんが、開館10周年展はやや挑発的なタイトルです。
写真はものの見方を
どのように変えてきたか
と、言うのは、万人受けしない物言いな気がします。
しかも4回もやる。1回あたり1ヶ月半ペースで11月まで。こんな構成、受けるわけがない。
これはもう勝負の姿勢ですね。写真の始まりから現代までを総点検しちゃう気です。
そしてその内容はというと、やっぱり分かりやすいものではない。フィルムがなぜ光を受け取ると像が写るのかとか、もうまったく化学。
写真を作品として楽しみたい人には講義を聴かされてる感じかもしれない。そういう点では不器用というか、損に走るのはもう公営の宿命的な性なのか。
今回の第1部は「誕生」。
「生まれましたよ!」っていう前提で話が進んでいきます。
では何が生まれたのか?
もちろん、「写真とカメラ」なんですが、「写真とカメラとは私たちにとってこういうものです」とは安易に明言しません。何なのかを伏せたまま、初期のカメラとか古い写真を紹介しながら話が進んでいきます。
いつ・どこで・どのように 生まれたのか
生みの親の当時の人々は、それにどう接したのか
それを辿ることで、生まれた「写真とカメラ」の本当のところを見てみようというやつです。ちょっとあまのじゃくというか、禁欲的ですね。
さらに目指すところは、写真とカメラの正体よりも、それらによって私たちが「どうなってしまったか」という取り返しのつかなさを探っていくこと。この過程はけっこうスリリングでした。
お堅い内容ですが、最初期の写真である銀板に写った街並みにはびっくりします。
理屈だけの中身ではなく、170年前の人々が感じた興奮の追体験でもあり、さて、次回はどうでしょうか。
- 第1部「誕生」:4/2 sat → 5/22 sun
- 第2部「創造」:5/28 sat → 7/18 mon
- 第3部「再生」:7/23 sat → 9/11 mon
- 第4部「混沌」:9/17 sat → 11/6 sun